2010年5月17日月曜日

「世界を、こんなふうに見てごらん」。

今日、「世界を、こんなふうに見てごらん」という本を読んだ。
これは、日高敏隆という動物行動学者が書いた本で、GWに「熊田千佳慕」展に行った時に売ってたので、パラパラっと立ち読みし、面白そうだったので、図書館にリクエストを出していて、先日ようやく手元にきました。

まぁ、これはエッセイの類になるのかな。
著者の考えをいろいろ語っておりますが、これがなかなかおもしろい。
子どもの頃の話は、こんなこクラスにおったら嫌やなと思うような変わった子ですが、東大を出て京大の教授になるくらいだから、頭はキモイくらいよかったんでしょう・・・。


印象に残る箇所はいくつかあるけど、中でも「宙にうくすすめ」の章での1節を紹介したい。

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頼るもののあるほうが人間は楽だ。それにしたがい、疑問には目をつぶればいいのだから。
でも、引きこもりやカルト、無差別殺人といった現代の問題には、どれも自分の精神のよって立つところを求めて、暗い洞窟に入り込んでいった様子が見える。
どんなものの見方も相対して考えてごらんなさい。科学もそのうちのひとつの見方として。
自分の精神のよって立つところに、いっさいの、これは絶対というところはないと思うと不安になるが、その不安の中で、もがきながら耐えることが、これから生きていくことになるのではないかとぼくは思う。
近い将来、人類は本当に無重力空間に出ていく。
ならばその精神もまた同じように、絶対のよりどころのない状態をよしとできるように成長することが大切ではないだろうか。
それはとても不安定だけれど、それでこそ、生きていくことが楽しくなるのではないだろうか。
よって立つ地面はないということが、物理的な意味でも精神的な意味でもこれからの人間の最大のテーマなのだと思う。

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う~ん、「安定」神話のある日本でこの発想にいたるあたまの柔らかさが凄い。
そして、持論を周りの反応を恐れずに発表することろもすごいな。

動物行動学者として、虫も人間も犬も同等に「動物」というくくりで考えている人。
確かに、この人の見方で世界を見たら、今までと違った世界に見えてくるでしょう。

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